本 9 Oct 2022 The Elephant’s Journey by José Saramago 読了。いやはやなかなか長くかかりました。ポルトガル国王からオーストリア大公へ結婚のお祝いとして贈られた(実は厄介払いされた)象がただただリスボンからウィーンへ向かうお話。地の文と会話文の区別がされておらず、人名や地名も大文字で書かれていない独特な文体。関係代名詞や分詞構文などで長々と続き一文一文のカ… Read More
本 16 Jun 2022 山尾悠子『ラピスラズリ』 紙の本が欲しかったのだけれど、読んでないの世界で私だけでは?という気になり(TwitterのTLがそんな感じ)電書購入。 文章を読んでいるはずなのに脳内に映像が圧倒的な力で雪崩れ込んでくる。 続きもののように思われる絵画が掛けられた薄暗い回廊を、からだのない白い手先に手首を引かれてぐるぐると歩き… Read More
本 12 Oct 2021 宮部みゆき『三島屋変調百物語 おちか編』 毎年一時帰国の度に図書館で借りて楽しみに読んでいたのだけれど、疫病のおかげで一向に帰国できない上に見ればおちか編完結などと書いてあったので思わず電書を購入。 三巻目の『泣き童子』までは絶対読んでたんだけどまっっっったく覚えてなかったので三巻目から再開。(一~二巻目も覚えてないので再読します) 若… Read More
本 2 Oct 2021 Cannery Row by John Steinbeck ひとの、世界の、生きることの美の髄を抽出して濾した、澄んだ極上のスープのような作品。 弱く、優れておらず、素晴らしくない命の美しさ、かなしさ、痛み、喜び、儚さへの讃歌。 短い作品だけれども読み進むのが惜しく、ゆっくりと一文ずつ味わいながら読んだ。 眠い時に読むと取りこぼしそうで勿体なく、章の終わ… Read More
本 1 Jul 2021 Klara and the Sun by Kazuo Ishiguro イシグロ氏がWaterstonesのインタビュー動画で「最初は絵本の構想だったのだけど、娘(作家で書店勤務)に見せたら『子供のトラウマになる』と云われて小説になった」と云っていて、然もありなんという感想。 ディストピアSFなのであろうけど、どこか寓話的、童話的なのは恐らく世界をゼロから経験し学んで… Read More
本 19 Apr 2021 The Lottery and Other Stories by Shirley Jackson 個人的な社会の中にゆらゆら立ち上る煤のような闇を捉えてぎゅっと凝縮したような話ばかり。肌触りと後味の悪さは一級品。 表題作が最も有名ではあるが、物語としての体裁が整っていて分かりやすいからかと思った。 毒の種類から云うと他の作品の方が個人的にはきついように感じられ、元気のなかった12月に'Lik… Read More
本 2 Mar 2021 Travelling Light by Tove Jansson 今はトーベ・ヤンソンのTravelling Lightを読んでいます。 随分前にお母様がフィンランド人のお友達に貰ってそのまま積んでいた本。何故か、ああ今だ、と自然に開いていたので読むべき時が来たのでしょう。するすると入って来てすごく読みやすい。 本をくれたそのお友達に、トーベはフィンランド人だ… Read More
本 8 Dec 2020 Christmas Days by Jeanette Winterson 英国で暮らし始めて早いもので二十余年となるが、住んでいる内にこの国(そして恐らく他のキリスト教圏の国々)におけるクリスマスという祝祭は、私(キリスト教徒ではない日本人)にとってのクリスマスとは持つ意味の重さがまったく異なるということを学んだ。 どういうことかを簡単に説明しようとする時、私はいつもこ… Read More
本 16 Nov 2020 須賀敦子『ユルスナールの靴』 作家ユルスナールの生立ち、米国への意図せぬ移住、作家の精神的成熟が構想作品の実現に見合うまでの長い道のり、登場人物の歴史的・宗教的背景……。そこにノマドとして欧州の宗教観、精神世界を理解しようと長年もがいた著者自身の若き日の実体験、あるいは年齢を重ねて訪った旅先でほどけるように開けた景色が金糸のよう… Read More
本 8 Jul 2020 服部まゆみ『この闇と光』 読了。久々に日本語の本。 父王からの濃密な愛情と闇に閉ざされた館で育つ囚われの王女。 凝った構成で章ごとに謎が解明していく。 事態の急変後の主人公の戸惑いを通じて虚構と現実のどちらに人の心の『真実』が存在するのか、その危うさに気付かされる。 面白かった。 のですが、私はカバー裏を最初に読んじゃったの… Read More