The Elephant’s Journey by José Saramago

The Elephant’s Journey by José Saramago

読了。いやはやなかなか長くかかりました。ポルトガル国王からオーストリア大公へ結婚のお祝いとして贈られた(実は厄介払いされた)象がただただリスボンからウィーンへ向かうお話。地の文と会話文の区別がされておらず、人名や地名も大文字で書かれていない独特な文体。関係代名詞や分詞構文などで長々と続き一文一文のカ…
キリヴィラ語答え合わせ 雑記

キリヴィラ語答え合わせ

Twitterで見かけた国際言語学オリンピックの例題が楽しかったので答え合わせのForumを作ってみました。挑戦された方もされなかった方も解答やコメントして下さると喜びます。…
山尾悠子『ラピスラズリ』 

山尾悠子『ラピスラズリ』 

 紙の本が欲しかったのだけれど、読んでないの世界で私だけでは?という気になり(TwitterのTLがそんな感じ)電書購入。 文章を読んでいるはずなのに脳内に映像が圧倒的な力で雪崩れ込んでくる。  続きもののように思われる絵画が掛けられた薄暗い回廊を、からだのない白い手先に手首を引かれてぐるぐると歩き…
宮部みゆき『三島屋変調百物語 おちか編』

宮部みゆき『三島屋変調百物語 おちか編』

 毎年一時帰国の度に図書館で借りて楽しみに読んでいたのだけれど、疫病のおかげで一向に帰国できない上に見ればおちか編完結などと書いてあったので思わず電書を購入。  三巻目の『泣き童子』までは絶対読んでたんだけどまっっっったく覚えてなかったので三巻目から再開。(一~二巻目も覚えてないので再読します) 若…
Cannery Row by John Steinbeck

Cannery Row by John Steinbeck

 ひとの、世界の、生きることの美の髄を抽出して濾した、澄んだ極上のスープのような作品。 弱く、優れておらず、素晴らしくない命の美しさ、かなしさ、痛み、喜び、儚さへの讃歌。  短い作品だけれども読み進むのが惜しく、ゆっくりと一文ずつ味わいながら読んだ。 眠い時に読むと取りこぼしそうで勿体なく、章の終わ…
Klara and the Sun by Kazuo Ishiguro

Klara and the Sun by Kazuo Ishiguro

 イシグロ氏がWaterstonesのインタビュー動画で「最初は絵本の構想だったのだけど、娘(作家で書店勤務)に見せたら『子供のトラウマになる』と云われて小説になった」と云っていて、然もありなんという感想。 ディストピアSFなのであろうけど、どこか寓話的、童話的なのは恐らく世界をゼロから経験し学んで…
The Lottery and Other Stories by Shirley Jackson

The Lottery and Other Stories by Shirley Jackson

 個人的な社会の中にゆらゆら立ち上る煤のような闇を捉えてぎゅっと凝縮したような話ばかり。肌触りと後味の悪さは一級品。 表題作が最も有名ではあるが、物語としての体裁が整っていて分かりやすいからかと思った。  毒の種類から云うと他の作品の方が個人的にはきついように感じられ、元気のなかった12月に'Lik…
Travelling Light by Tove Jansson

Travelling Light by Tove Jansson

 今はトーベ・ヤンソンのTravelling Lightを読んでいます。 随分前にお母様がフィンランド人のお友達に貰ってそのまま積んでいた本。何故か、ああ今だ、と自然に開いていたので読むべき時が来たのでしょう。するすると入って来てすごく読みやすい。  本をくれたそのお友達に、トーベはフィンランド人だ…
前よりも悲しい場所 雑記

前よりも悲しい場所

 娘の学校の9年生の子が亡くなった。娘が小学生の時に同級生だった男の子の妹さんで、私も一時期学校のクラブ活動で関わったことのあった子だった。 その一報が先週金曜日に学校から入り胸を痛めていたところ、今朝、なんと娘の同級生も先週の水曜日に亡くなっていたという報せが追って入った。 二人ともCovid-1…
Christmas Days by Jeanette Winterson

Christmas Days by Jeanette Winterson

 英国で暮らし始めて早いもので二十余年となるが、住んでいる内にこの国(そして恐らく他のキリスト教圏の国々)におけるクリスマスという祝祭は、私(キリスト教徒ではない日本人)にとってのクリスマスとは持つ意味の重さがまったく異なるということを学んだ。 どういうことかを簡単に説明しようとする時、私はいつもこ…