Nicholas Nickleby
耳読書終了
36時間20分!なかなか長かったけど全然飽きずに最後までわくわくして聞けました。
ただやはり長期連載物らしく本筋には関係ない寄り道や「ここはページ埋め?」という他愛のない会話や描写が時々あります(笑)。クラムルズ一座やリリヴィック氏の話なんかまるっと寄り道では……いや楽しかったけど。
とにかく全編通してニコラスが喧嘩っぱやく血気盛んなので、突っ走って何かマズい状況になるのではないかと本気でハラハラします。(しかも割と実際に手が出るタイプ……)
ニコラスがラルフに初対面から反感抱いてるのがちょっとよく理解できない。就職後やケイトの扱いを知ってからの怒りはまだ分かるとして。
ラルフが悪や強欲の象徴になってる感。確かに善人ではないし悪事にも多々手を染めてきたとは思うのだけれど、ここまで罰せられるべき人かな……。
と、読者に思わせるのが作者の狙いなのかな。ケイトへの幾ばくかの愛情がある様子や最後の秘密を聞いてからの振舞いは、確かに同情を掻き立てられるものがあるから。
ちょっと不満なのはニコラスとヒロインのマデリンとの恋愛が今一つ……具体的に関係が育まれてるエピソードに欠けてて、何か……顔が好き!ってそれだけじゃないですか……?
あなたスマイクとの方がよっぽど精神的な愛情を育んでいるじゃないですか。熱血漢でいつもカッカしてるくせにスマイクに対しては異常なほどに優しいし……。
スマイクは最初から最後まで可愛くいじらしかった。別れには涙、涙。子供時代を奪われた優しくきれいな心の持ち主に、ニコラスが自分の幼い頃の思い出を差し出て二人でゆっくりとなぞっていくような穏やかで悲しい場面。
愛されず大切にされなかった子供のことを考えるのは、それが例え架空の話でも辛い。
脇役も魅力的な人々が多く、ミス・ラ・クリーヴィ、ニューマン・ノッグ、チアラブル兄弟などがまるごとの善意からニクルビー家のために奔走する様子も心温まる。
マデリンの救出劇でニクルビー兄妹が腕組んでジャーンって登場したところは何か笑った。ディケンジアンの人々割と気軽に腕組む。おじさん二人とかでも。
ただ私ねえ、ちょっとブルッカ―の最期に納得いってなくて……。この人がいなければスマイクはあんなことにはならなくて、ロンドンに帰って来たのだって善意からではなくラルフから金を引き出そうとしたかった訳で……。正直ラルフより罪が大きいと思うんだけど。後悔して亡くなったからってそれでいいんですかね。私はよくないと思っている。
(この人と比べるとサー・フレドリックの末路が見合ってなさすぎて本当に気の毒)