須賀敦子

須賀敦子『ユルスナールの靴』

須賀敦子『ユルスナールの靴』

作家ユルスナールの生立ち、米国への意図せぬ移住、作家の精神的成熟が構想作品の実現に見合うまでの長い道のり、登場人物の歴史的・宗教的背景……。そこにノマドとして欧州の宗教観、精神世界を理解しようと長年もがいた著者自身の若き日の実体験、あるいは年齢を重ねて訪った旅先でほどけるように開けた景色が金糸のよう…